八ヶ岳

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高山極域環境研究会(代表:増沢武弘)
(Society for the study of alpine and arctic environment)
&
静岡大学理学部生物学教室
(Faculty of science, Shizuoka University)
バージョン 3.0
( ver. 3.0 )

八ヶ岳

 八ヶ岳は長野県と山梨県の県境に位置し、東は関東山地に、南は赤石山脈に、北西は霧ヶ峰・車山高原にかこまれ、赤岳(標高2,899m)を中心に南北に連続する火山群である。
 富士火山帯に属し、八ヶ岳中信高原国定公園の一部で、周囲を諏訪、佐久、甲府の盆地に囲まれ、北端の蓼科山から南端の編笠山までは南北21kmに及ぶ火山で形成されている。約2,500万年前以後の、厚い地層の上に噴き出した、長い期間にわたって活動を続けてきた複成火山である。


八ヶ岳の地形

 八ヶ岳は東西2列の火山列から成り、夏沢峠を境にして北八ヶ岳と南八ヶ岳にわけられている。

北八ヶ岳
・針葉樹林と、その周辺にコケ類が多く見られる、白駒池、双子池、亀甲池、雨池、みどり池、摺鉢池などの池が点在している。山頂まで森林に覆われている。
南八ヶ岳
・横岳(2,825m)、赤岳(2,899m)、阿弥陀岳(2,805m)、権現岳(2,715m)など標高2,700〜2,900m付近に岩峰が連続する。
・崩壊と浸食がすすみ、全体に稜線部は岩場となっている。

植物群落の分布

亜高山帯(標高1,600m〜2,500m)
 八ヶ岳全域にシラビソ−オオシラビソ林が分布している。亜高山帯で標高が低い部分はシラビソが優占種となり、標高が高くなるとオオシラビソが混生した森林となる。
  南八ヶ岳・・・シラビソ−オオシラビソ林が見られる。
  北八ヶ岳・・・シラビソ−オオシラビソ林とともにコメツガ林が広く分布している。
 コメツガはシラビソやオオシラビソよりも土壌が未発達な場所で生育が可能である。八ヶ岳ではコメツガとシラビソの混生林は広く分布しているが、コメツガは寿命が長く大木になる。シラビソ林は密度が高い林冠を作るため、林床の植物群落は余り発達しない。
 亜高山帯の上部と高山帯が接したところにはダケカンバ林が形成される。ダケカンバは、枝や幹が歪曲した状態でも生育が可能なため風衝地や雪崩地に生育できる。ダケカンバ林は林内が明るいため、下層の植物群落が発達している。

高山帯(標高2,500m以上)
 八ヶ岳の高山帯における年平均気温は約0℃で、植物の生育期間は3〜4ヶ月である。八ヶ岳は台風や季節風の影響を受けやすく、特に高山帯は強風の影響を受けやすい。積雪は比較的少なく、風衝地ではほとんど積雪が見られないところもある。凹地や凸地、急斜面、平坦な場所など様々な地形が見られ、それに関連して積雪の違いを生じさせる山頂現象もみられる。しかし、雪田やそれに由来する湿性のお花畑は八ヶ岳ではほとんど存在しない。
 上記の条件を考慮すると、八ヶ岳の高山帯では大きく分けて4つの植生が見られる。

  1. ハイマツ群落
  2. 高山風衝群落(矮性低木群落、草原群落)
  3. 高山荒原群落
  4. 岩場に生育する群落

八ヶ岳の植生

八ヶ岳の植物

特集1:ウルップソウとツクモグサ
特集2:キバナシャクナゲとハクサンシャクナゲ

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