常緑葉の性質

図

 常緑葉とは冬を越して何年か生存している葉のことを意味する。一般に1年以上葉を維持する場合を常緑葉と呼ぶが、なかには何年も生き続ける葉を持つ種類である。
 常緑葉の特徴は次の4つに集約される。


  1. 葉は何年か生き、各々の年の葉には役割分担がある。
  2. 常緑葉をもつと、雪解け後、直ちに光合成ができ、光合成産物を生産することができる。
  3. 秋期の、最終的に雪に埋もれるまでの間の条件の良い時に、光合成を行って光合成産物を生産することができる。
  4. 常緑葉は、光合成をすると同時に貯蔵物質(糖類)を貯える場所になっている。貯えられた糖類は翌春に新しい器官の発展に消費される。


 富士山に生育するフジハタザオはロゼット葉をもって越冬する仕組みをもつ。フジハタザオが常緑で越冬するために、さまざまな機構が関与していると考えられる。その中でも、(1)厳しい寒さを耐える仕組み、(2)冬の間、葉が貯蔵器官として機能するために働く機構、(3)開花・結実後にロゼット葉が老化しない理由、という点について、分子レベルで解明することをめざしている。これらの研究は、植物の耐寒性、光合成/貯蔵の転換の仕組み、開花・結実後の老化のメカニズムなどの解明につながると期待される。

図

[前へ]
(Previous)
[次へ]
(Next)


[戻る]
(Back)