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ハリモミ林
ハリモミ(Picea polita)は常緑の高木で、高さ約30mにもなり胸高直径は約1mになる。樹皮は灰褐色または灰黒色で、厚い鱗片状になっている。葉は線形で、先は鋭くとがって、触れると痛く、これが「ハリモミ」と言われる理由である。
本州では福島県以南、四国・九州に分布する。そのうち富士山麗にあるハリモミの純林は国の天然記念物となっている。富士山の東北面に位置する鷹丸尾溶岩流上で、ハリモミの分布が見られるのは、標高900〜1,000mの範囲であり、温暖帯と冷温帯の移行部にあたる。
ハリモミ林は一般にモミ(Abies firma)・ウラジロモミ(Abies homolepis)・ツガ(Tsuga sieboldii)などと混交し、純林となることは少ないが、国の天然記念物に指定された昭和38年(1963)頃には、富士山のハリモミ林は約50ヘクタールにわたって樹高20〜25mの高木で構成される純林に近い状態となっていた。このハリモミ林は日本列島では
最大の規模で、1916年にE.H.ウィルソンによって海外に広く紹介された。
ハリモミは溶岩流上の傾斜の尾根上に生育する陽樹であるため、富士山のハリモミ林は樹齢250年前後の一斉林であると言われている。現在、火災や台風による風倒被害を受け、その跡地に落葉広葉樹やつる植物の侵入がみられ、ハリモミの純林状態は維持されていない。
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