大雪山大雪山旭岳の植物 |
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大雪山の特徴的な植物
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秋には、登山道沿いに、白くかすみがかかったような植物群落に出会うことがある。乾燥した岩場や湿った雪田跡地などに巾広く分布しているチングルマ(バラ科)の羽毛状の種子の集団である。
夏には白みがかったクリーム色の花を集団で咲かせ、秋には種子に羽毛状の毛をつける。毛先が伸びて車輪状に発達し、「稚子車」(ちごぐるま)のようになる。夏も秋も目を楽しませてくれる高山帯では常連の花だ。 北海道の大雪山では、なだらかな斜面を一面に覆いつくすような大群落がある。一方、岩場では点在する岩に這い上り、すっかり覆いつくしている様子をよく見かける。岩の上に利点があるらしい。地面に生育する個体と比較してみると、岩に這い上がったものは花がたくさん咲き、葉の量も多い。また、種子をつける効率も高かった。 岩の上では直射日光が当たると暖かく、さらに他の植物との競争が少なくてすむ。有利な環境である。また、春に岩はいち早く雪から顔を出すため、地表面より生育期間が長い。これも高山では重要な条件である。 チングルマは北海道から中部山岳地域のどこにも見られる。その理由は、この植物が大雪山・旭岳の群落のように雪どけの水を利用できる湿った場所から、乾燥しがちな岩の上まで生育できる、巾広い適応能力をもっているためであろう。 |
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