礼文島 |
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礼文島の特徴的な植物
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日本列島の中部山岳地域や北海道には氷河期の名残がみられる所がいくつもある。そのひとつが北海道の礼文島である。ここには隣の利尻島と共に両者の名前を冠した氷河時代からの固有の植物が数多く生育しているが、レブンアツモリソウ(ラン科)はその代表的なものである。
白に近いクリーム色の花は、まだ寒さの残る礼文島の春に、やわらかく暖かな雰囲気を作り出している。ただその姿と色の美しさゆえに徹底的な盗掘に遭った。過去には島の南部にも大きな群落が存在したが現在見られるのは、島の北部に位置する鉄府地区の、柵に囲まれた状態の個体群だけになってしまった。 ここは自生地と言われているが、最近これに似た仲間が問題視されている。分布の中心を大陸にもつカラフトアツモリソウだ。問題は、これがレブンアツモリソウの群落の中に生育していて、その雑種と思われるような個体が年々増加していると言われていることだ。わずかに残ったレブンアツモリソウが、将来交雑種に置き換わってしまうのではないかという点で大いに危惧される。 この花の数の減少については現在礼文町立の高山植物培養センターで行われている生育実験の進展に望みをつなぎたい。盗掘植物の価値が下がれば、やがてこの個体群は守られる方向に向うと思われるからである。 |
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