白山 |
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白山
白山は高山帯をもつ山としては最も西に位置している。高山帯の中心部には御前峰(2,702m)、剣ガ峰(2,677m)、大汝峰(2,684m)があり、その周辺には多くの高山植物が分布している。 | |
白山の特徴的な植物
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高山植物群落の中にときどき、黒っぽい花をつけた一群が現われる。はなやかな色をもつ植物が多い中では、異様である。それは不思議な印象を与えるクロユリ(ユリ科)である。花弁は黒というより赤味をおびたこげ茶色で、黄色の雄しべが中心部から浮き上がってみえる。花は二種類あって、一つは雄しべだけをもつもの、もうひとつは雄しべと雌しべの両方をもつものである。
花の咲いている個体の周辺には葉が一枚だけの小さな個体がたくさん分布している。数年後には何枚かの葉をつけて花を咲かせる集団である。この子だくさんの状態は地下の鱗茎によってささえられている。鱗茎は小さな球がかたまってくっついていて、この小球が少しずつばらけて、小さな個体をたくさん作る。 クロユリの花には独特のにおいがある。このにおいが、ある種類のハエを呼び寄せ、そのハエが背中に黄色い花粉をつけて、他の花へ運んで、受粉に貢献している。しかしハエの苦労に比して種子で増えることはごくまれである。ほとんどが地下の鱗茎の分裂で子孫を増やしている。 もっとも多く分布しているのが白山といわれている。ここではクロユリの家族構成や生き残り作戦について研究が進んでいる。 |
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